【短編】鐘の音が聞こえる
鐘の音が聞こえる
今年もまた聞こえてくる



どこからともなく耳をかすめる、クリスマスソング



今年はどんなプレゼントをサンタさんにお願いするの?



どこかの親子の会話



私にはね、サンタさんはいないの。



どこかに行ってしまったの。



…もう会えないの。



それだけは、はっきりと分かっている。

…私は、ひとりぼっちなの。



そんなことを考えていたら、その親子はいつの間にか雑踏の中に消えていった。



吐く息は白く、刹那に消えていく…



街を歩く全員が、幸せそうに見える。



美しい光に照らされ、心浮かれるクリスマスソング


大きなクリスマスツリーの前で待ち合わせをしている、カップル…



そのすべてから、自分だけ置いてけぼりにされているような、そんな気さえもしていた。








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