キミの隣に
「ちょい、マジで
何か聞かせろよ。」

他の曲でいいからって、
積み上げた譜面を手に取り
広げる。

「だって、うまく
弾けないもん。」

「弾いてやっから、
これ、歌ってみ。
完成型みておきたいから。
そうじゃなきゃ、
俺だけ不公平だろ?」

あんた、講師じゃないっ!?
しかも、プロじゃんっ!!

彼は、自分にあてがわれた
教室から、ギターをとってきて
ピアノ椅子に隣合わせで
腰かける。

「もう少し、詰めろって。
しっかし、狭い部屋だな。」


確かに・・・
不公平だけどさぁ。


「私は単純に、センセが
どーゆージャンル聞いてて、
どんな雰囲気で弾くのか
聞きたいだけだったのにな。」

「メアド、書いといただろ?
聞いてくりゃいいのに。」

「あの、やたら、数字
並んでる奴?」

「ダルイから、変えてないだけ
だっつーの。」

「あれ、メアドだったんだ?!
レシートの裏に書いてるから
ゴミかと思ったよ。」

何で、こんなことに
なってるかな・・・

でも・・・

ちょっと練習といって、
弾き始めたその音が
気持ち良くて、
つい、歌い始めてしまった。


 

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