キミの隣に
この位の配線は、
私でも軽く出来る。

センセが見てる事も忘れて、
仕事中の様なハイペースで、
音響機材をつないでいく。

機材が多くて10分ほど
予定よりオーバーしたが、
作業は終了し、
雑材の片付けを始めた。

『ふーん。
カッコイイじゃん。真月。
ああ、お前、そういや、
ライブでも女の子に
キャーキャー言われてるよな。』 


・・・そりゃ、あんただろ。


微妙に的の外れたコメントに
本気で疲れがでた。

疲れたというより
ショックっていうのかな。


『センセ・・・ってさ。
天然っていわれない?』


この短時間での
転回の取り留めのなさ・・・

どうしたいのかが
読めなくて。



ひそかに、憧れ・・・て、
いた感がある相手に、
カッコイイって言われるのって
女じゃないって
言われてるみたいで、
割とショックだった。



そう。 

私は、この人を
ある意味、目標にしていた。

いつか、この人に
弾いてもらえる位
うまくなりたいって思ってた。


 


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