キミの隣に
ライブイベントが近づき、
狩野さんと堂野さんと、
その打ち合わせ後、
飲みに来た。


「毎年、きついよなあ。
これ・・・。」

堂野さんがため息をつく。

この人が一番、
生徒を抱えているため、
そうもなるんだろう。

全員が出られる訳じゃないから
落選者の落胆を
見せられる俺達は、
たまったもんじゃない。

プロ養成所じゃねーんだから、
その辺、もうすこし、
ソフトにしてやれよと
思っていた。

真月に言うと、
経営ありきなんだから、
仕方ないんじゃない?って、
ドライな意見が返ってきたが。

毎年席を獲得している彼女には
その辺の奴らの気持ちは、
くめないのかも・・・と、
思っていた。


『彼女、欲しいんだよね。』

どんどんトリップする俺の頭で
啓太の台詞が響き、
現実に引きもどされる。

ああ、探ってやんねーと。

「狩野さん、透達って、
また、アンプラのカルテット
決まりなの?」

「ああ、そうよ。
あいつらは、一組のバンドの
位置付けにあるから。
渡辺さんもこの間、
挨拶に来てた。」

・・・聞いてねぇや。
啓太、残念だったな。

 
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