キミの隣に
その取っ付き易さに、
逆に自分の方が、戸惑う。

年に1〜2度の、
イベントやライブで、
見かけた事があるだけだ。


緊張もあったのか、
その時の気の強そうな、
尖ったイメージが
今、電話の向こうの彼女からは
伝わってこない。


・・・俺

相手、間違ったか?


・・・だいたい、
里奈に、彼女を指名したときも
スゲー照会の仕方
したからな・・・。



あれは、昼過ぎの
里奈との電話での話だ。






『げっ?!里奈、
お前、ライブ無理なの?!』

『当たり前!
急にいわないでよね!
って事で、また誘って。』

いつも、ギリギリに
依頼する俺に、
さすがに愛想がつきてるのか、
サッサと電話を切ろうとする
アイツに縋り付く。


『待てっ!里奈!
誰かいないか!?

歌える奴で、お前程度には
インパクトある奴!』


そこまでいって
思い出した。


彼女を・・・


でも、名前すら知らない。


知ってる事といえば

『やたら、目立つ』
『毎度、衣装がエロい』
『狩野さんの生徒と
バンドを組んでる』


それだけ。



 

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