キミの隣に
約束のライブが近づく。


互いに、真剣味が増してくる。

俺としては、
合格ラインだと思っていたが、
彼女はさらに精度を
あげたかったらしい。

言いにくそうに
話を切り出した。


「ねぇ・・・。
お願いがあるんだけど。」

「何?」

「あのね・・・」

「早く言えって。
ためんなよ。」

「わかったよ。
ライブまで・・・その・・
合鍵、貸してもらえない?」



「はっ?」



突然の発言に固まる。


合鍵って・・・

柄にもなく、俺、絶対
赤くなってるはずだ。

理由を話し出した真月に、
自分が半ば、妄想に
浸っていた事に気付き、
居心地が悪かった。

要は、教室やスタジオに行く
時間を考えれば、近い立地の、
うちで練習すれば、
その分長く出来ると言うこと
だった。


話ながら、
自分が突拍子もない事を
言ったと思ったんだろう。

「って・・・やっぱ、
ダメだよねぇ。普通は。

やっぱいいや。

ちょっと、
のめり込みすぎたよ。」 

そう、発言を取り消した
彼女の語尾に、反応した。

のめり込みすぎたって・・・?

「何に?」



 

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