いちばんの星
「何がおかしい…リヴィア」
「いいえ何でも」
そう笑いながら答えると、リヴィアはミュリエルに早く行くように促した。
「別に経験が無いなんて事を気にしなくても大丈夫よ」
リヴィアが意地悪そうに微笑みながらそう言った。
「…ったく…」
ヴェルヌが少し面倒くさそうに立ち上がるとミュリエルの前に立ち、ぐいと顎を持ち上げた。
「別に純情ぶらなくてもいいぞ?そんな事して俺の気を引こうとしても無駄だ」
国王のあまりの言葉に、ミュリエルは固まった。
男性という恐怖よりも、そこまで人を馬鹿にした態度にふつふつと別の感情が沸いてきたのだ。
「――所詮、女なんて言うのは男に媚びを売る生き物にすぎないだろ?」
みな権力に目を輝かせ、少し甘やかせばすぐに体をさしだす。
まるでエメラルドのようなヴェルヌの瞳が冷たく光る。
「俺は……ひとりの女に縛られたりしない」
そう言ってゆっくり唇を近づけるヴェルヌ…
この女も他の使用人と同じ――…
――その時、
パァンッ!!
ヴェルヌの頬に、じんわりと痛みが広がった…