いちばんの星
初めはヴェルヌに対して不信感しかなかったミュリエルも、ヴェルヌのそういった態度に徐々に考えが変わっていった。
自分対して向けられる瞳が"女"ではなく"ミュリエル"として見てくれているような…そんな気さえしていた。
そんなある日。
「今日は…随分星が綺麗だな」
窓の外に目を向けながら、ヴェルヌはゴクリとグラスの酒を飲み干した。
月の光に照らされているヴェルヌの顔があまりにも美しくて、ミュリエルはしばらく目が離せなくなった。
そんなミュリエルの視線に気づき、ヴェルヌはニヤリと笑うとミュリエルの方に顔を向けた。
「あ…」
ヴェルヌの視線に、ミュリエルは恥ずかしくなって思わず顔を伏せてしまった。
そんなミュリエルに、ヴェルヌは意外な言葉をかけたのだった。
「こっちへ来て一緒に見るか?」
「え…?」
てっきりいつものように馬鹿にされるかと思った…。
あまりのヴェルヌの突然の言葉にミュリエルがその大きな瞳を見開いたまま固まっていると、
「早くしろ」
とヴェルヌがミュリエルの腕を掴み無理矢理ソファーから立たせた。