いちばんの星
その反動でミュリエルはヴェルヌの胸に顔をうずめてしまう。
「すッ…すみません」
――トクン…
慌ててミュリエルが離れようとすると、ヴェルヌはその細い肩に手をかけ、窓の方に体を向けさせた。
そのミュリエルの後ろに立ったヴェルヌは、ミュリエルの体の両側から窓枠に手をついて外を見る。
(なんだか…抱きしめられてるみたい…)
自分の頬がじんわり熱くなるのを感じていると、後ろからヴェルヌの心地よい声が響いてきた。
「綺麗だろ?すべての星が自分は一番美しいといったように輝いている」
そんなヴェルヌの言葉に、ミュリエルは窓の外でこれでもかと輝く星空に目を向けた。
「俺にとって女なんてこれと一緒だ…」
「え?」
そう……、きっとみんなそうなんだ。
そう小さな声で呟くと、ヴェルヌは再びソファーに腰を下ろした。
ミュリエルはそんなヴェルヌの後ろ姿をしばらく見つめていた。
まだ頬が熱い……
高鳴る鼓動を感じながら、ミュリエルはじっとヴェルヌを見つめていた。
すぐそばで渦巻いている、黒い影にも気づかずに…