いちばんの星
「そんな事よりお前はどうなんだ?例の使用人、だっけ?そんなもんつけて」
自分の首もとを指差しながらスティークは意地悪そうに言った。
そう言われたヴェルヌはみるみる真剣な顔つきになると、再び机の椅子に腰を降ろした。
「これは勝手にリヴィアにつけられたんだ。そんな事よりも…」
いつになく真剣な様子のヴェルヌに、思わずスティークも横たえていた体を起こした。
「最近自分がわからないんだ…初めは本性暴いてやろうっていう気持ちで側においた…
でも、最近あいつに会うのが楽しみになってる自分がいるんだ…俺らしくないな…」
そう言ってフッと笑うヴェルヌ。
(それは恋って言うんだ)
思わず言ってしまいそうになったが、スティークはこらえた。
――自分自身で気づいて欲しいと思った。
愛を知らないヴェルヌに、誰かを愛するということを……
一方ヴェルヌは、以前大臣のザランに言われた事を思い出していた――…
…――「王…最近ひとりの使用人にご執着だとか」
「それがどうした。そこまでお前にどうこう言われるつもりはないが」
サインをする手を止める事なくヴェルヌは答えた。
「いえ、特に何を申し上げるわけではないのですか…」
なかなか本題に入らないザランに苛立ちを覚えヴェルヌは、顔を上げてザランを睨みつけた。