いちばんの星


――――――


「ふわぁ」



スティークが大きなあくびをすると、呆れたようにヴェルヌが言った。



「何だ寝不足か?どうせ女のとこにでも行ってたんだろ」



スティークはヴェルヌから見ても整った顔をしていると思うしスラリと背も高いので女性からは人気がある。



しかしこれまでスティークから浮いた話を聞いた事がなかったため、今回もほんの冗談のつもりでそう言った。



しかしスティークから返ってきた言葉はヴェルヌの想像とはまるで逆のものだった。



「ああ…まぁな」



そう言うとスティークは部屋のソファーにドカっと横になった。



――カランッ



あまりの予想外のスティークの言葉にヴェルヌは思わず持っていたペンを落としてしまった。



スティークは最近ほぼ毎晩のようにラナと共にミュリエルの元へ通っていたのだ。



そして朝は誰よりも早く起きて近衛隊長として城の見回りをしている。



『女のところに行っていた』ということはあながち間違いではない。



「へぇ…お前もついに」



口の端を吊り上げて笑うとヴェルヌはスティークの元へ近づく。



「で?どこの令嬢なんだよ?」



初めての親友の話にヴェルヌは興味深々といった様子だったが、話すとめんどうな事になると思ったスティークは話の話題をヴェルヌへと切り替えた。



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