いちばんの星


――――――


「では、みなさんにはこれから使用人頭の下へ行っていただいて一通り仕事を教えていただきます。
それでは、参りましょう」



そう言って先導する兵士の後に続いて、新しく入城する事となった使用人達が歩き始めた。



数は10人くらいだが、どの人もみな美しい人ばかりだとミュリエルは思った。



「ねぇ知ってる?ここの国王様って…」

「きゃあ。そうなの…」



何人かの新しい使用人がヒソヒソと何か話していたが、ミュリエルはそんな話よりも美しい城の内装に興味津々だった。



今まで見たこともないくらい高い天井に美しいシャンデリア。



廊下の端には美しい花が飾られており、廊下の壁の大きな窓からは美しい中庭を見ることができた。



そんな美しい城の様相に見とれているうちに、ある部屋にたどり着いていた。



「では、私はこれで」



兵士が立ち去ると扉の中からひとりの女性が現れ、ミュリエル達をじっと見るとペコリとお辞儀をし話し始めた。



「私が使用人頭のエルトです。どうぞよろしく」



そう名乗った女性は、髪を後ろで一つにまとめいかにも厳格といった様子が漂っている。



少し年の衰えは感じるが、顔立ちには気品があり、若いときにはとても美しかったのだろうという事が想像できた。



「あなた達にはあなた達より先輩の使用人から仕事を指導して頂きます。サヴィアーノの使用人として恥じないような働きを期待しています」



そう言うとエルトはもう一人、エルトよりもずっと若い使用人を呼ぶと「では」と軽く頭を下げその場を後にした。



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