いちばんの星
「はじめまして。私はエミリアよ。よろしく」
エルトに呼ばれた女性は軽くお辞儀をしてあいさつをすると、ミュリエル達に使用人としての仕事を教えた。
エミリアは深い緑色の長いウェーブの髪と瞳をもつ美しい女性だった。
本当に使用人というのは美しい人ばかりなのだと改めてミュリエルは思った。同時に自分がこの場にいる事に申し訳なさを感じていた。
「最後にひとつ…」
エミリアはその美しい口元に笑みを浮かべると、ミュリエルが驚く事を口にした。
「若い使用人は毎晩国王様の部屋によばれて朝まで一緒に過ごすっていう暗黙のルールのようなものがあるの。
だから使用人には美しい人だけが選ばれるのよ」
――その後の話はよく覚えていない。
エミリアの話が終わると、新しい使用人達は新しく与えられた部屋へと別れていった。
ミュリエルも部屋へは辿り着いたが、エミリアの話にショックを隠せなかった。
(朝まで過ごすなんて…)
父親の事を思い出しミュリエルの体が小刻みに震える。
――そんな事…できるのかしら…
ミュリエルはこれからの使用人としての生活が不安でたまらなくなった。