いちばんの星
部屋を出たヴェルヌは、行くあてもなく城の中を歩き回っていた。
『お前…今どんな顔してる?』
そんな事…お前に言われなくたってわかってる…
なんで俺は…
こんなに彼女が気になるんだ…
「あの…」
ふと後ろから話しかけられヴェルヌが振り返ると、そこには泣きそうな瞳でヴェルヌを見上げるラナの姿があった。
ヴェルヌの冷たい瞳に、ラナはなかなか口を開く事ができない。
「なんだ?」
「あっ、あの…」
ラナは一旦ギュッと目を閉じるとじっとヴェルヌの目を見つめる。
ヴェルヌの言葉に、意を決したようにラナは話し始めた。
「ミュリエルは…あなたの事を愛しています…
だから、だから……」
溢れそうになる涙を堪えながら、ラナは震える手をギュッと握った。
「私じゃダメなんです…国王様じゃなきゃ…ミュリエルは帰ってこない…」