男女7人冬物語
7人の不幸者
船は昔からわりと好きだった。あの事件が起きるまでは。
「明ぼっちゃま、もうすぐで約束の時間になります。急いでください。」「分ーてるよ!すぐに行くから、大丈夫!」
何でも今日は大富豪の子供たち7人が呼ばれて、赤道直下にある豊かな無人島の観光ツアーだそうだ。別に楽しみじゃあないけれど大富豪の子供にいい女子がいてナンパできたらいいなと軽い気持ちでいた。後々思うと俺はとんでもないバカだったと思う。
自分の家の豪大な車庫にあるリムジンに乗り込み、目的地へ向かった。 走って一時間半程経つと港が見えて来た。大きい港だ。
車を降りるともう俺以外の6人が来ていた。そのすぐそばに今回の観光のガイドらしき人もいた。貴族服を着ていてその姿が恐ろしい程似合ってなくて笑ってしまいそうだった。そのガイドが話し始めた。
「今回は皆様お集まりになって誠に有り難うございます。本当はもう島に向かいたいところですが、先に皆さん自己紹介をしてもらいます。名前と年齢、そしてどこの大富豪の御子息か言ってもらいます。まずは左端の人から。」
そして左端の子から紹介することになった。
「えーと、萩聡治郎です。十九歳で有名な電気製品店の社長の息子です。」
外見はガリガリで理数系の頭が良さそうな感じで、頼りなさそうな感じだった。次に隣の子の自己紹介に移った。
「要愛です。十五歳で、有名な植物栽培企業の開発者の娘です。」
おとなしい感じで、凜とした姿にで着物が合う和の女の子だった。続いてその子と仲良く話している子の自己紹介に変わった。
「巾南瑞季です。十五歳で、野菜の卸売企業の総支配者の娘です。」
背がスラッとしていて、長い髪を二つに縛り上げていた。その次の子の自己紹介にどんどん移っていった。
「春名紫苑です。十六で、IT企業の社長の息子です。」
かなりの女顔で、優しい雰囲気が出ていた。声もまだ女々しかった。
次からの奴等がかなりの問題児の自己紹介に変わった。
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