月と太陽の事件簿9/すれちがいの愛情
知られざるプライベートが明かされたわね…って何を考えてるのだあたしは。

「どうしたの?」

里見さんの心の中を読むようなその冷たい視線を受けて、あたしはあわてて首を振った。

「いいえ、なんでもありません!」

「そう。おかしなこと考えてたような気がしたんだけど?」

「気のせいです!」

里見さんはそれならいいわと手を振った。

「で、虐待の原因は子育てのストレスだと言いたいわけ、その児相の職員さんは」

「はい。でもあたしは…違うと思います」

根拠はない。

ただの勘だ。

でもこれは女の勘で刑事の勘でもある。

「友人のひいき目は入ってないのね?」

里見さんが探るようなまなざしで見つめる。

…それはないと言ったらウソになる。

でもあたしは自分が信じるものを信じる。

それが勘だろうと、友人だろうと、オバケだろうと。

「リカちゃんがオバケにこだわるのが気になるんです」

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