Halloween☆の集い
月夜のセレナーデ

喫茶室


 ホストクラブやキャバクラが建ち並ぶ、新宿歌舞伎町。

今日もライバル店を意識し、火花を散らせ、華やかさを
競いあっている。

見慣れた風景を横目で、チラリと見て通りすぎて行く。

「ふぅ。此処も随分と賑やかになったものだな。静かな町だったなんて、誰が思うだろうか」

満天の星が輝いていた頃が、懐かしい。

今や、二つ、三つと一番星が見えるだけ。

 さて、俺も店の準備をしなくちゃな。

おっと失礼、まだ名前を名乗っていなかったな。

俺は、鈴木 ウィルズリ-エマーソンだ。

長い名前で覚えにくいだろうが、よろしく頼む。

この街の外れで、喫茶店を経営しているんだ。

飲み屋が建ち並ぶ中、俺は珈琲を選んだのさ。

客? どうかなぁ。

以前は星の道しるべによって、俺たちの仲間もよく来ていたんだけどな、最近はパッタリと来なくなったよ。

何せ分かりにくいところだからね。

人に聞いたって「知らねぇ」って言われるだけだよ。

俺は、人間と関わりを持つことが嫌いでね。

まぁ、こんなところで立ち話もなんだし、暇なら俺の店で珈琲でもどうよ? 

自慢じゃないが、珈琲の煎れ方には誰にも負けない自信があるんだ♪

えっ!? 色気づいたホストクラブへ行く途中? 
そりゃ、ないぜ。

ま、アル中なったらいつでも来な。

場所は天の星に聞いてくれ。



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