Halloween☆の集い
月夜
さて、満月と言われる日がやってきた。
一体何が変わるんだか?
気持ちを落ち着かせるために、珈琲をいれてみた。
しかし、この歳になって生まれ変わるって……俺って、本当に鈍くさいヤツなんだな。
そういや、今日はリタの試験日だっけな。どれ、見物にでも行くか?
窓の外は、夕闇に変わろうとしている刻を知らせるかのように、コウモリたちが挨拶にやってきた。
俺が屋敷の外に出ると、見知らぬ女性が門前に立っていた。
「何か用ですか?」
キャリーバッグ一つ持っていないところを見ると、旅行者ではないようだな。
「こちらに住まわれている方でしょうか?」
「あ、いや、今は一時的に──」
「スミマセン、道に迷ってしまって、この辺りに他に家が見付かりません、どうか一晩泊めてください」
困ったなぁ。見るからに『人間』を中に入れるわけにはいかないよなぁ。
「泊めてあげたいんだけど、俺、此処の主じゃないからさ」
「そう……です……か」
参ったなぁ、そんな寂しい顔されたら放っておけないじゃないか。
この暗い道を一人で歩かせるなんて、危険すぎる。
いつもは俺に利益の無いことには放っておく主義だが、何故かこの時だけはこの女性を一人にしておけないと思った。
とりあえず、街まで送るとするか。
「何処に向かって行こうととしていたわけ?」
「サン・ロードです」
サ、サン・ロード!? 禁断の場所ではないか!?
どうする俺?
選択は三つ。
一つ、彼女を禁断の地へ送り届ける。
二つ目、夜が明けるまで、俺たちの聖域に泊める。
そして三つ目は──
何を考えているのだ、迷い人を襲おうなんて、ルール違反だよな。
よし!! 俺は、一つの決意をした。