時計仕掛けの宝石箱
ピ、と少女は通話を切り、明るい画面を閉じて暗闇に身を預ける。



‥静寂。



小さな風の赤子が一陣、広い部屋を通り過ぎた。

エディリーンはゆったりと窓辺から離れ、立派な木製のドアに向かって歩く。

と、彼女の足音に混ざって、奇妙な音がする。

‥ザリ、ザリ‥

だが少女は事も無げに、雪色の足で何かを踏み潰す。



‥ギイィ‥



ドアが軋んで開き、外界の電光が部屋に漏れる。

少女はするりとドアの間を抜け、部屋の外から中を冷たい視線で見回す。

薄暗い室内の床には、白い絨毯のような、白い粉末と枝が四散していた。

その上をキャンパスにして、生乾きした赤い液体が芸術的にぶちまけられていた。



そして‥。



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