時計仕掛けの宝石箱
(‥そうよね。
思えば、私がこの組織に入ったのは‥

誰よりも優しいあの方に付いて行きたかったから。

‥ずっと、忘れてたな‥大切なコト)

そう思い、立ち上がった。その時、彼女の足元に何かが閃いた。

「‥あ‥」

それは、親身になって自分の汗を拭ってくれた、少年のハンカチだった。

返しに行こうか、とニ、三歩踏み出してから立ち止まる。

ほんの少しの逡巡の後、サーシャは自分の座っていたデスクに戻った。

握って皺のついたハンカチを丁寧に畳んで、彼女愛用のノートパソコンの横に置く。

新しく仲間入りしたそれを見て、サーシャは微笑んだ。



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