時計仕掛けの宝石箱
日本史教諭の赤城と言えば、始業五分後授業で有名な教師だ。

それより早くもなく遅くもなく、必ず始業ベルの五分後に現れる。

‥はずなのだが。

響也は登校してからの記憶を念入りにチェックして、赤城が出勤している事を確認する。

「‥響也」

控え目にかけられた声と、引かれた制服。

いつの間にか真横に立っていた童顔を仰ぐ。
「授業中出歩くなよ、委員長」

「授業が始まらないから来たの。分かってるのにふざけないでよ、響也」

蜜羽は頬を膨らませて響也の額を軽く叩く。

「呼びに行こう。もしかしたら、途中から出張とかなのかもしれないし」

「‥分かった」

責任感の強い蜜羽らしい言葉に、響也は素直に従った。
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