感覚のレベル【BL】
 
 僕は時々思うんだ。

 一也は僕から離れていってしまうのではないかと。

『あの雑誌』を見たとき感じた感覚は、衝撃とも戦慄とも言えないものだけれど、一也だという確信と同時に生まれたのは、ほんの少しの恐怖。

 彼は人を引きつける力を持っている。

 それはとてもすばらしいことだ。

 けれど、僕にとっては嬉しくない。


 だから。


 だから僕は華燐を観ない。

 雑誌とCDだけで、彼を感じる。

 僕一人の世界で。

 僕一人で彼を感じる。


 ……だめだ……。
 
< 18 / 38 >

この作品をシェア

pagetop