感覚のレベル【BL】
 
「だから、聞いてねぇって……」


 本当にイヤそうな顔をしている。

 話の内容は僕には分からないから、一体どうしてそんな顔を一也がしているのかは分からないが、かなりイヤなことだということだけは分かった。


「俺、今日オフなんだぜ? 代わりに休みくれんのかよ? なんだよ、あぁ? ふざけんじゃねぇよ、そんなんいねぇよッ! 勝手にほざいてろ!!」


 ホールドボタンを押す前に、ケータイを床に投げつける。

 鈍い音がして床を滑っていくそれを僕は拾った。

 壊れてはいないが、塗装がはげている。

 ……って、木に打ち付けたんだ、これはもともとのキズだろう。


「仕事の話?」


 とりあえず聞いてみた。

 怒ることには変わらないけど、聞かない方がずっと怒るから。
 
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