やくざと執事と私【第2部:ラブ&レース】

「・・・・あの・・・お話の途中ですいません・・・・やくざの愛人と施設の子供って?」



私は、見つめ合う組長と執事に悪いと思いながらも、話に割り込む。



「言葉の通りですよ。大和は、やくざの愛人の子供で、私は施設で育った子供です。」



「それじゃ、龍一さんのご両親は・・・・。」



「はい。私の両親は、私の記憶の中には存在しません。」



「・・・・すいません。」



私は、自分の何でも聞きたがる節操のなさを後悔して、下を向く。



「なぜ謝るのですか?あくまで、私の遺伝子上の両親の記憶が、私の中には存在しないというだけで、私の中には、私が母親と父親として認識している人は、存在しています。」



「あっ、母親は、俺のかあちゃんだろ?」



組長がうれしそうに執事を見る。



「はい。大和のお母様は、私に母親の温かさを教えてくれました。」



「・・・厳しさもな。」



組長のしかめっ面と言葉に苦笑いを浮かべる執事。


< 93 / 390 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop