いつでも逃げられる
今日も彼は献身的だ。

朝から何かと私の身の回りの世話をする。

…監禁されてそろそろ一ヶ月が経過するだろうか。

一体何の目的で彼が私と一緒に過ごしているのか、監禁されている私は本当に疑いたくなる。

男が若い女の自由を奪い、逃亡を許さず、行動を制限する。

何の為にそんな犯罪行為に走るのか…大抵の場合は分かりきっている。

その分かりきっている行為に、彼は一切手を染めようとしない。

本当に私を愛でる為だけに監禁しているの?

指一本触れる気はないの?

私は…認めなければならないかもしれない。

焦れ始めていた。

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