【長編】距離
それに、修だって可能性がある。


つい先日知ったけど。


俺は、少しだけ期待したんだ。


それも呆気なく崩されたけど。


初めの内に確かめたらしい。


じゃなきゃ、中畑の姓にしないと。


もう、どんな可能性もない。


絶望的だった。


「孝知が悔やむことはない。
俺が悪いんだ。」



じいちゃん。


自分の代ですべてが終わる悲しみ。


俺は、それをなくしてやりたかった。


じいちゃんとばあちゃんが苦しんでるのは知ってた。


どんなに子供を作っても痣を持つ者が産まれない。


どんなに辛かったか。


じいちゃんは、すでに諦めてたんだよな。


だから、父さんと母さんに子供は自然に任せたんだ。

無理につくってもいいことはないからと。


もう、希望の光なんてないんだな。


あと、何年かで終わってしまう。


家に縛られたくないってのがあったけど、なくなるとなると違う感情がでてきた。


願うことは、奇跡が起こること。
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