【長編】距離
「美弥ちゃん、詳しく知りたいんだけど教えてくれる?」


美弥ちゃんは、首を縦に振った。



私は、美弥ちゃんが落ち着くようにホットココアをだした。


美弥ちゃんは、ホットココアを飲んで、落ち着いてから話し出した。


「私と亮は、小さい頃から施設で一緒に暮らしてた。
私、物心がつき始めた頃あたりからかな?
ずっと、亮が好きだった。
けど、亮はね。
恋とか愛に興味ないみたいでね。
自分の欲求に素直に遊んでた。
顔もいいから。
誘わなくても、向こうからきてくれた。
私、それをずっと耐えてみてたの。
けど、やっぱ耐えれなくてね。
『一度でいいから、抱いて』
って、頼んだの。
私、呆気なく妊娠して、呆気なく流産したわ。
それから、亮は私だけを選んでくれた。
責任をとるためだけに。
愛されてなくても嬉しかった。
それでね。
高校卒業して、施設を出てから同棲をはじめたの。
私、もっと離れない絆が欲しくて。
だから、子供をつくったの。」
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