スイート*ハート~絆のラブリーDAYS~



夜の道が
永遠に果てしなく続いて


どこにも着かなきゃいいのに







「はい、到着しましたよ。
お嬢さま」



家の前に車が止まる。



私は うつむいたまま
ひざの上で指をもじもじさせる



まだ一緒にいたい。
せっかく
お父さんもお母さんも
いないのに



「きぃ?着いたよ」


「……………」



「………きぃ?どうかした?」



「先生。どっか行こうよ」



「どっか?」



「だって、だって…まだ……」


まだ一緒にいたい


それが言えなくて
唇をギュッと噛んで
暗い足元を見つめた



黙りこんだ私に


「また今度どこか行こうね」


小さな子供に語りかけるように
先生は優しい声を出す。



「誰もいないし、もう少し…」


言いかけた私の言葉を
先生はさえぎった。

「絆。
いくらご両親が留守でも
守らなきゃいけないことは
守らなきゃな?」



「……………」


なんだろう。
悔しいのと悲しいのと
胸が ぐちゃぐちゃしてくる。



「さ、もう充分 遅くなったし
早く家に帰りなさい。」



まだ9時前だもん。
友達と遊んだって
10時過ぎる時もある。



先生は私より
ルールを大切にしてる


気持ちよりモラルを重視してる


世間体と私を秤にかけたら
世間体が勢いよく傾いて
反動で私は飛ばされて
秤から落ちちゃう。


それくらい私は世間体より
軽い存在なんだよね。




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