*ハナコイ*


――――――


『辞めたらいいじゃないですか。そんな結婚…』


そんな事できるわけないんだ…



『別に…嫌な思いまでして無理に結婚しなくても…』



そんな事俺が一番わかってる!



部屋へ帰ってからの俺は、ロゼアの言葉が頭から離れなかった。



結婚の話が出たのはちょうど一ヶ月くらい前。



初めはもちろん断ったけれど、父と母にいい加減安心させてくれって言われたらもう断れなかった。



王位継承権を持ってるのは俺だけだから、成人を過ぎてまでふらふらしてるなんて事はできない。



俺がそう決めたらなんだかポンポンと話が進んで明日姫がやってくる事になった。



「はぁ…」



大きなため息をつくと、俺はソファーに横になった。



そういえば、ロゼアはこんな俺の話を真剣に聞いてくれたっけ…



使用人が王族の話を聞くのは当たり前だけど、彼女の場合は少し違う気がした。



なんていうか、王子と使用人じゃなくてひとりの人間として聞いてくれる気がしたんだ…
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