*ハナコイ*


それからはお部屋の掃除や食材の買い出しやらでやっとゆっくり休めた時にはもう一日目が終わろうとしている時だった。


窓からボーっとお月様を眺めながら、考えるのは王子様の事ばかり…



「結局…全然会えなかった…」



こんな事だったらバラの時の方がましだったかもしれない…



思わず涙がこぼれそうになって、私は無性に他のバラ達に会いたくなった。



だからこっそり部屋を抜け出して中庭へ行った。


みんなに会いたくて…







外に出ると、お月様が優しく輝いている。



そんなお月様の光がバラを照らして、とてもキレイに輝いて見えた。



「人間からはこんな風に見えるのね…」



私は優しくバラに触れた。



王子様もこんな風に優しく触れてくれた…



そして…いつも綺麗だねって笑ってくれた…



人間になればすぐにでも王子様に会ってお話できると思ってたのに…



『後悔するかもしれないよ』



お日様が言っていたのはこういう事だったのね。
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