*ハナコイ*


あんなになりたくてなりたくてしょうがなかったのに…



たった一日でバラが恋しくなってしまった。



そんな時…



「君は…?」



振り向いた私の目に映ったのは…



「王子…様…」



そこにいたのは王子様だった。



会いたくて会いたくて仕方がなかった王子様が、今私の目の前にいる。



「君は?どうしてこんな時間に中庭なんかに?」



そう言いながらこっちに歩いてくる王子様。



「わたしッ…」



思わず言ってしまいそうになった。私がバラだってこと…



でもそんな事言っても信じてもらえないし、逆に変な子だって思われそうだから…



「私…ロゼアと言います。使用人として働いています」



私がそう言うと王子様は「そっか」と笑って近くのベンチに腰を下ろした。


「俺はセルジュ。よろしくロゼア」



そう言ってにっこり笑う王子様。



やっぱり王子様の笑顔は素敵だな…



そう思っていると王子様は立ち上がり私のすぐ隣にしゃがみこむとそっとバラに触れた。
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