Plumbago
プロローグ


「……ン」



興奮を煽るため演技で漏らした声に、男は中に入れた指を更に激しく動かす。


「あンンっ」


…痛い。


痛みを紛らわしたくてシーツ掴んでみてもシルクのそれでは滑りが良すぎて、あまり役に立たなかった。


くちゃくちゃといやらしい音が部屋に響く。


耳に残らない曲ばかり流す有線はBGMという役割をしっかり果たしているけれど、気を、紛らわしてはくれない。


ここにあるものが



「綺麗だよ…莉乃ちゃん」



“りの”
私を示すその名前すら。


全てが敵のような気がして、瞼の裏にある暗闇の世界へと逃げるように瞳を閉じた。


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