バスルーム ~君の魔法が解ける時間~


『キス…していいかな?』


『え…』


あたしは一瞬うなずきそうになった。


でもあたしの中のなにかがその衝動を押さえ込んだ。


ブサイクの…プライドみたいなものかもしれない。


それとも,あたしには恋をする勇気がないのかもしれない。


もしこんな人に溺れちゃったら…


そう考えると,あたしはまた急にむなしくなる。



『昨日ちなが俺を送ってくれたとき,ほんとに嬉しかった。熱のせいにするのは気が引けるけど,昨日は急にキスしてごめんな。嫌だったよな…』



ジュンは申し訳なさそうにあたしの頭をなでていた。






…この人はあたしのことをほんとに想ってくれてるのかもしれない。






考えるより先に体が動いてた。


あたしの鼓動は少しずつ早く,けれどしっかりとリズムをとって,トクントクンと鳴っている。




あたしは自分からジュンにキスをした。




唇に神経が集中しているみたいで,ジュンのマシュマロのように柔らかい唇から伝わる熱が熱くてたまらなかった。



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