大人の女と男の関係
「結局、6月から何にも進展してない状態なんだ」


「そう……」


私は成哉のやつれた横顔を見た。


やせたのは、精神的な疲労のせいかもしれない。



「先週行ったときには、お父さんから、離婚を匂わされた」


「え、どういうこと?」


離婚、という言葉にはどうしても敏感に反応してしまう。


「もう、由宇のことは忘れてくれて構わないって。
君も毎週通ってくるんじゃ大変だろうって。
きっと、由宇は変わらない、別れた方が君の負担にならずに済むって……」


「…………」


下手な返事はできなかった。


お父さんの言うことにも一理あるとは思う。


こんなやせた成哉を見たら、なおさらそんな苦悩から解放してあげたくなる。


でも……


成哉自身は、そして由宇さんは、離婚したいと思っているんだろうか?


相手を思う気持ちが残ってはいないだろうか……



成哉は、手元を見つめ、話を続けた。
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