そして秘密の時間(とき)を共に
私は入口で買ったパンフレットを自分の座席で見ながら、涼が来るのを待っていた。

本当は一緒に来たかったんだけど……涼が言ってた通り偶然会った事にする為には、やっぱり別々に会場に入った方がいいだろう、と思ったから。

チケットを貰った時は、観られる事になった喜びで気が付かなかったけど、いざ来る前に座席を見たら、ど真ん中の前から3列目でビックリしたよ。

そう言えば涼にチケットくれた人って、『舞台関係者』って言ってたよね……感謝しないと。



「お嬢様、お隣よろしいでしょうか?」



あっ、涼。

いつの間にかパンフレットを真剣に読んでいたら、涼がふざけてそう声を掛けてきた。

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