そして秘密の時間(とき)を共に
「はい、笑って笑って」

戸惑っている私にそう言い、涼が撮影ボタンを押すと、『カシャッ』と音が鳴った。



「どれどれ」

楽しそうに、撮れた写真を確認する涼。



「んー、おまえ、表情硬いよ。もう1枚」

「でも」

「俺が納得する顔で撮れるまで、何回でも撮り直し」

「えー」

「『えー』じゃない。はい、スマイルスマイル」



半ば強引な涼に、思わず笑ってしまった。

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