ことばにできない
専務は続ける。

「あの男、また来るかもしれない。アンタ、今夜からはここで生活しなさいよ。

今日はとりあえず、着替えだけ持ってきたから。
悪いけどちょっと、タンスや押し入れ開けちゃった。ゴメンね。

さ、ご飯食べよ。
アンタを待ってたのよ。

一緒に食べましょ」

専務はセカセカと台所へ行き、敏哉さんの奥さんと一緒に食器を運び始めた。

「アンタも手伝ってくれる?」

専務は私に、考える時間を与えなかった。



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