危険な彼女
スーパーに入ると、真っ先にタイムセールス現場へとダッシュした。



携帯を家に忘れたせいで時間が正確につかめず、予定の到着時間より少し遅れたことに気づいていなかった。



よって、店に入り、店内の時計が目に入った瞬間に勝手に足が動いたのである。




タイムセールス現場は人でごった返していた。



このスーパーのタイムセールスは破格の安さとそれに反比例する人の多さで有名だった。



それ故、これは想定の範囲内。



奈津は乾いた唇をなめると、意を決したように人混みに突進した。




しかし、どうだろう。




不景気で、金銭感覚が厳しいものになっている主婦は強敵であった。



若く、体格も奈津の方が良いはずなのだが、何故か吹き飛ばされた。




――あんたら化け物かっ!!!




口に出すわけにはいかない。



奈津は心の中で叫び、再び人混みへと突進した。
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