危険な彼女
「ふ、振られちゃった…

は…はは………」




苦笑いとも、作り笑いともとれる笑みで、亜紀は彩芽を見た。



すると彩芽は、急に切なげな表情に変わった。




「亜紀ちゃん…」




「な、何ですか…?」




「泣きたかったら、泣いてもいいのよ…?」




――!




亜紀は目を見開いた。



それに対して彩芽は、ゆっくりと亜紀に近づき、そっと優しく抱き寄せた。




「あ………」




「泣きたいときには泣けばいいじゃない。

それを我慢するのが強いってことじゃないのよ?


女の子だもの。

泣いたっていいじゃない」




――!




「私…わだ…っし………」



声が徐々に鼻声に変わっていった。



そして、彩芽は亜紀の頭をそっとなでた。




「よく…がんばったわね………」



「う…うっ……うぅ………」




亜紀はとうとう泣き出した。



一度泣き出したら、もうそれを止めることはできず、亜紀はわんわんと泣いた。



彩芽の温もりに甘えながら、ひたすらに泣いた。
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