危険な彼女
「いつもは神社にお詣りなんてしないのに、何でこの時期だけ神社に人が殺到するのかしらね?」



「んなこと知るか。

風習ってゆうか、これが日本の文化なんだろ?

そういう俺たちだって初詣に来てんじゃねぇか」




そう言うと、桜はムスッとした表情になった。



納得できない、とゆう意味合いなのだろう。



奈津は呆れて、肩をすくめた。








奈津と桜は、二人で初詣に来ていた。



もちろん、二人とも恥ずかしいのか、手をつないだりはしていない。



だが、さっきから手が当たったり、触れたり、握りそうで…握らない。



二人は、見てるこっちが恥ずかしくなるような純情カップルを演じていた。




そして、そんな二人に遠くから手を振る人物が三人。



二人は桜と同じく、それぞれのイメージに合った着物を着こなし、一人は初詣の情景には場違いな、かなりチャラチャラした格好の男だった。
< 483 / 491 >

この作品をシェア

pagetop