デスク・フレンド

願い。

私はきっと見えていなかった。

本当の想いも
好きの意味も。

見つめていた先は、誰?

―――――

「未来ー!置いてくよー?」

夏真っ盛り、夏休み前の中庭で鳴くセミたちがうるさい。

慌てて帰る用意をして呼ばれた方向に振り返ると未来は申し訳なさそうに苦笑いを浮かべる。

「ごめんっ、移動教室の時に教科書忘れてきたみたい…取って来るから待ってて!」

呆れる友達にもう一度ごめんを繰り返して教室を飛び出すと、夕焼けが見える渡り廊下を駆け抜けて、階段を上がる。
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