笑顔の理由
-プルルル-


「はい、もしもし。」


「おばちゃん??笑和だよ。」


「あら〜笑和ちゃん。
どうしたの?」


こんな時に執汰の居場所が
わかるのは

執汰のお母さんしかいない。

小さい頃からそうだった。

執汰と遊びに行って

はぐれたときもおばちゃんに

電話をして聞いていた。



「執汰はもう帰ってきた?」


「帰ってきてないわよ。
あら?執汰とはぐれたの?」


「探してたの。
学校にもいないから、
帰ったのかな?って
思ってさあ。」



「執汰、笑和ちゃん置いて
どこに行ったのかしらねぇ。
今日はスクールは休みだし・・・・。」


執汰は小さい頃から

スイミングスクールに

通っていた。


今日は休みということは

私も知ってる。


「そっかあ。
もし帰って来たら
電話ちょうだい。」


「わかったわ。
執汰は笑和ちゃんを
迎えにくると
おばちゃんは思うけどね。」


「ありえないよ〜。
執汰そんなに気がきく子じゃないし。」


「アハハハハ。そうねぇ〜。
でも毎日、
笑和を乗せて行かなきゃって
自転車で行ってるわよ。」



え?

毎日、たまたまじゃなくて

迎えにきてくれてたんだ。

このままじゃそんなことも
なくなるのかな?



「おばちゃんありがとうね。
もうちょっと探してみる。」


「はいはい。
今コロッケ作っているから
帰りに取りにおいで。」


「うん。じゃあまたね。」



-プチ-



執汰と帰らなきゃね。


ちゃんと伝えなきゃ
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