End of the transmigration of souls■Chapter1■
━━━師匠だなんてこいつが勝手に決めただけだ。それ以上に色々複雑なんだよ。……しかし、時間の流れは恐ろしい。いつまでもガキだと思ってた奴が自分の年を超しちまったからな。自分はあの頃のまま……。知らない所で大人になっていくこいつの姿に戸惑ってる。俺の知らない世界をたくさん知って、たくさん見て 、たぶん自分の手を汚す様な事もたくさんしてきてるんだろう。………今イセルナの着てる服は俺を殺した奴と同じ物だ。何か考えがあっての事か、無理矢理だったのかは知らないけど……。きっとどこかで奴等と同じ事をこいつは他の人間にしてきたんだろう。……あの時、助けたつもりでいたのにな。逆に長い間イセルナを苦しませてきたかもな。……あはは!悪いなおっさん!全然関係ねぇ事まで喋っちまった!



「事情はよくわからねぇが大変な思いしてきただなー。きちんと埋葬されてこれからはしっかり見守っててやらねーと」



━━━そうだな………。イセルナにはこれからも生きて俺の見る事ができなかった未来を見て欲しいと思う。俺の望んだ未来をな………。 あーぁ!ちゃんと9年前に戻れてれば俺の嫁さんなんだけどなー!人生全部狂っちまったぜ!

「人生そんなうまくいくわけねーべよ……」



……………………。 師匠とおっさんの会話で目が覚めた。起きてる事がバレない様にこっそりと聞き耳を立てていた。そこにはあたしの思い出の中と同じ師匠が居た。師匠はあのまま、時を刻まない魂だけの存在になってるんだ。昔と変わってるはずがないのだ。変わったのはあたし。 あたしが大人になってしまったから師匠が変わった様に見えていただけだったのだろう………。





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