君色

君は知らない




私は雅史が好き。

雅史を好きになるまで私の胸にあった、先生に対する気持ちは嘘じゃなかった。

本当に好きだった。

だけど、雅史が私の心をさらっていった。

先生を好きな気持ちも雅史がさらっていったのかな。

先生を好きだったという事実も、そして、今もまだ先生と付き合っているこのどうしようもない事実さえも、雅史が全部奪ってくれればいいのに。

冬空に輝く星達の内の一つになって消えてしまえばいいのに。



雅史と付き合うようになってから、私は先生の顔色を窺って、いつも別れを告げる機会を探していた。

今日言おう、今日言おう、っていつも決心するのに

まるで先生は私の心を見透かしているみたいに

しつこく甘えたり、いきなり私を強く抱いたり、帰り際、涙で潤んだ瞳を私に向けたりした。

その度に私の決心は揺らぐ。

先生を好きって気持ちはもう本当に残っていないのに、

私は流されていた。



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