耳元で囁いて




秋野がきて、一週間が過ぎて分かった事が少しある。



秋野はあまり、話さない。
隣の席になって秋野とは良くしゃべった。
けど、しゃべるけど私が一方的に話すだけで彼はそれに対して、相槌をうつだけだった。





「秋野ってさ、あんま喋んないよね。何で?」


「...何でって言われてもな...しらね。」


放課後、日直だった私達は教室で仕事をしながら喋っていた。



「...何?お前は喋る男が好きなわけ?」


「や、そうゆう訳じゃないんだけどね。」


「ふ~ん。」



秋野にしては今日はよく、喋る。


私がそんな事を思っていると、秋野が...

「お前....好きなやつとか、いんの?」


なんて言うから、落書きに使っていたチョークを床に落としてしまった。



「何、いきなり。」


「いや、ちょっと気になったから。」



本当に珍しい。
今日の秋野はよく、喋る。



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