あの日の願い【短編】
それにしても、彼女と一緒にいると自分が既に若くはないのだという事を思い知らされる。

深大寺前でバスを降りるなり、ユイは鬼太郎茶屋を見つけて満面の笑みで店内に吸い込まれていく。


「ねえねえ、後で何か買ってよ」


店内に入った僕にいきなり物を強請る。

そんなに鬼太郎が好きだったのだろうか。

少なくとも本人は夢中なようで、いつもとは違って明らかにはしゃいでいる。

そんな姿を見て、僕はユイを外に連れ出して良かったと思った。

考えてみれば七年前に僕がここを訪れた時には鬼太郎茶屋は存在していなかったはずだ。

ぱっと見はあの頃と変わらないように見えるけれど、少しずつこの界隈も変わっているのだ。

僕自身と同じように。七年も経てば色々なモノが変わっていく。

建物も風景も人の心さえも。

今、こうして無邪気にはしゃいでいるユイも七年も経てば変わってしまうのだ。

それはとても寂しい事だけれど、絶対に避けられない事なのだ。
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