あの日の願い【短編】
鬼太郎茶屋を出て、僕らは山門に続く道を歩いた。
ちょうど七夕の季節という事で、道の両脇には、大きな笹が等間隔に設置されている。
笹にはカラフルな短冊が結びつけられ、風に揺られている。
「あれ書いてきてもいい?」
そう言うと僕の返事も待たず、笹の隣に置かれたテーブルで短冊に願いを書き始めた。
「絶対に見ちゃダメだからね」
ユイに釘を刺され、仕方なく僕も一つ離れた笹の下で短冊に願いを書く事にした。絶対に叶う事のない願いを。
『ユイとずっと一緒にいられますように』
恥ずかしさもあって、ユイに気付かれる前に僕は笹に短冊を結びつけた。
彼女が手の届かないような高い場所を選んで。
短冊に願いを書き終えたユイが僕を呼ぶ。
「ねえ、私届かないの。結んでよ。見ちゃダメだからね」
ユイがじっと僕の事を注視しているので、短冊の内容を確認できないままに枝に結いつけた。
ユイは満足そうに「ありがと」と小さな声で言った。
ちょうど七夕の季節という事で、道の両脇には、大きな笹が等間隔に設置されている。
笹にはカラフルな短冊が結びつけられ、風に揺られている。
「あれ書いてきてもいい?」
そう言うと僕の返事も待たず、笹の隣に置かれたテーブルで短冊に願いを書き始めた。
「絶対に見ちゃダメだからね」
ユイに釘を刺され、仕方なく僕も一つ離れた笹の下で短冊に願いを書く事にした。絶対に叶う事のない願いを。
『ユイとずっと一緒にいられますように』
恥ずかしさもあって、ユイに気付かれる前に僕は笹に短冊を結びつけた。
彼女が手の届かないような高い場所を選んで。
短冊に願いを書き終えたユイが僕を呼ぶ。
「ねえ、私届かないの。結んでよ。見ちゃダメだからね」
ユイがじっと僕の事を注視しているので、短冊の内容を確認できないままに枝に結いつけた。
ユイは満足そうに「ありがと」と小さな声で言った。