俺様彼氏と従順彼氏
「どうやって、みつお君を落としたの?」と、よく聞かれる。
そんなの自分でも不思議に思っているのだから、きかないで欲しい。
でもあまりにしつこいときは、
「みつおの社会勉強に、付き合ってるだけよ」
と答える。
みつおは、名前に似合わず綺麗な顔立ちをしている。
しかも、お金持ちときたら、みんなの憧れの的になる。
つまり回りから見れば、あまりにも「不釣り合い」なのだ。
だから「社会勉強」と答えるより他にない。
「恋人」というレッテルを貼られると、どうしようもない無情感と、行き場のない焦燥感が胸を焦がす。
あたしでいいのか?
と聞かれれば、誰だって首を縦には振らないはずだ。
だからあたしは、みつおに少なくとも「婚約者」というのが出来るまで、隣に居て、彼女とはどういうモノなのか。
という「勉強」に付き合っているのだ。
不安で仕方ない時も、みつおは、パーティーやら何やらに出掛けて、あたしの涙には気付かないだろう…
なんて、強がってみたりしてるけど、実際は八つ当たりなんかして、甘えさせて貰ってる。
でもどうしてだろう…
ただの「勉強」に付き合うだけと、頭では思っているのだから、寂しいなんて思わないはずだが、あの、菜子という子が羨ましい。
頭を撫でて貰い
手を差し出して貰い…
でも、やはり
憧れにしか過ぎないのだろう。