短編集『固茹玉子』
オートクルーズを最寄りの恒星に設定し、エイドリアンが携行していた航海日誌レコーダーに顛末を吹き込みながら退避ポッドへと向かう。

これでヤツは跡形も無くなる。地球に危険な生き物を持ち帰らずに済む。

狭いポッドに収まって冷凍睡眠のスイッチを入れた俺は航海日誌を締め括る。

「冷凍睡眠から覚めて、最初に喰う食事がたのしみだ。グフフ……グギョギョ?……」



  ギョォォォォォオオッ!



真空の宇宙空間では、俺の叫びを聞く者は居ない。俺は睡眠が覚めた後、最初に喰う人間に思いを馳せて、長い睡眠に落ちていく。


DEAD END THE END


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