短編集『固茹玉子』
At the eleventh hour
とうとう時は訪れた。いや、訪れたに違いない。

俺は歯も生え揃っていなかった頃から携えていたというこの光る短剣を握り締めながら思った。

宛ら魔物の体内のように入りくんだこの闇の都市を、15年にも渡って彷徨って来た。必要に迫られては増築され、ぶくぶくと醜く肥った豚のように成長し続けているこの都市は、その内部をつまびらかにする設計図も無ければ、目的地への地図も無い。




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